Polio Eradication News==============
ポリオプラス通信 ~ポリオのない世界へ
第61号 2025.7.15
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これまで60号を発行しましたが、新年度を迎えるに
あたり、内容を少し変えます。
皆さんがポリオ根絶を身近に感じられるように、
ポリオ根絶を通して、社会課題に向き合えるように。
誰でも気軽に読める内容を心がけていきます。
ポリオの現状とこれまでの活動を知って頂きたく、
情報発信します。
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皆さん、こんにちは。
ロータリーは7月から新年度を迎えます。
先月突然国際ロータリー会長が辞任し驚きましたが、
無事新たな会長が選出されました。
準備が十分ではない中新会長の下、これからどのように
活動していくのか現時点では定かではありませんが、
火中の栗を拾ったフランチェスコ・アレッツォ会長に
敬意を表し、ロータリーの一員として協力をしたいと
思います。
前号でも書きましたが、5年以内に世界ポリオ根絶宣言
がなされるのではと思いながら始めたポリオプラス通信
でしたが、もう少し時間がかかりそうなので、内容を
少し変え、お届けします。
これまでの内容を振り返ってみると、「ポリオ根絶」と
「平和である」ことは密接な関係があると分かって
きました。
現在ポリオ常在国であるアフガニスタン・パキスタンは、
共に政治情勢が不安定で紛争が起こりやすい国です。
昨年20年ぶりにポリオが発生したガザ地区もイスラエル
との戦争に巻き込まれた地域です。
ポリオ根絶には、ワクチンの接種率を上げ集団免疫を
つくりウィルスを消滅することが大事だと何度か書いて
いますが、ワクチン接種率を上げるには、ワーカーの人
たちが国の隅々まで訪問し、ワクチン投与するしかあり
ません。
紛争地帯に行くのは容易ではなく、平和であることの
重要性は言うまでもありません。
政治に翻弄され、最も影響を受けるのは市井の人たちです。
私たちロータリークラブはそのような人たちに奉仕・
貢献することが活動の根幹です。
イスラエルはハマスを支援したイランとも戦争を始めました。
今後どのように決着しようとも、被害を受けるのは市井
の人々であることを忘れてはなりません。
ロータリーとして何ができるのかを模索しながら、奉仕
活動を継続していくことが大切です。
傍観することなく、粛々とポリオ根絶へ向け活動していく。
ポリオ根絶まであと少しです。
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【ポリオミニ知識】
ポリオの歴史や、ロータリーとポリオの関係など、
ポリオにまつわるミニ知識を掲載します。
ポリオに関する発見をお楽しみください。
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第一回はポリオの歴史について書きます。
ポリオの歴史は古く、古代エジプトのミイラからも痕跡
が見つかっています。18世紀後半から19世紀にかけて
欧米で流行し、特に小児に深刻な影響を与えました。
日本では縄文時代の古墳からポリオ罹患者の可能性が
ある人骨が発見されています。
20世紀に入ると、ウイルス学の進歩により1908年に
病原体が特定され、1950年代にはジョナス・ソーク博士
による不活化ワクチンと、アルバート・セイビン博士
による経口生ワクチンが開発されました。
これらのワクチンの普及により、先進国ではポリオは
激減しました。
1988年には国際ロータリー、世界保健機関(WHO)、
UNICEF、米国疾病対策センター(CDC)が世界ポリオ
根絶イニシアティブを結成し、ポリオ根絶計画を開始。
以来ポリオは世界中で劇的に減少し、現在ではアフガニ
スタンとパキスタンの2カ国のみで野生型ポリオウイルス
の感染が報告されています。
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【ポリオ罹患者数】
7月8日付野生株のポリオ罹患者状況は以下の通りです。
アフガニスタン 2名
パキスタン 14名
モザンピーク 0名
合 計 16名
6月からパキスタンの罹患者が3名増加しています。
5月からは6名増加ですが、このまま微増するのか昨年の
ように一気に増加するのか読めません。何とかこの数字
以下で推移してほしいところです。
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【編集後記】
いつもポリオプラス通信を読んで頂きありがとうございます。
先日のインド出張時にガヤへ行きました。
私たちにとっては、お釈迦様が悟りを開いたブッダガヤ
が有名な場所です。
ここで、NPO法人結び手代表の福岡洸太郎さんと洪水
被害に遭った村々を視察しました。
ここ数年、気候変動の影響でインドでは乾季に大雨に
見舞われ洪水が起きたり、旱魃で作物が枯れたりと農民
は大変な思いをしています。
まさに急な大雨で洪水被害に遭い、舗装された道が寸断
され、床上1mの浸水で、豚やヤギなどの家畜が流され、
甚大な被害が出た村もあります。
大人たちは深刻ですが、子供たちはどこにいても元気です。
私たち日本人が来ると、嬉しそうに手を振って、ぞろぞろ
後ろからついて来ます。
しかし、20代の若者たちや男たちは暇を持て余しています。
畑や水田が洪水被害に遭い、やることがないのです。
都会だと日雇いの仕事もあるかもしれませんが、田舎の
農村地帯ではそもそも仕事がありません。
自分たちが食べる作物を育てるので手一杯な人たちが
いるそうです。
これでは生活水準が上がるはずがありません。
福岡さんが被災地の村々に緊急援助するクラウド
ファンディングを始めました。
州政府が当てにならず、目の前で困っている農民たち
を助けるためです。
ぜひ、少しでも皆様の浄財を支援して頂ければ幸いです。
https://syncable.biz/campaign/7988
災害の 爪痕のこり だれ助く
今回も川柳で今の気持ちを表してみました。
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○メールマガジン「ポリオプラス通信~ポリオのない世界へ」
発行責任者 柳 邦明
国際ロータリー 第2750地区 ロータリー財団
ポリオプラス委員会