ロータリーレート:

2025年11月 1ドル 154円

お知らせ・活動・ご案内

2025-26年度VTT記

今般の職業専門家トレーニング(VTT)の目的は「台湾のへき地に定着する医療従事者数を増やし、へき地の生活の質を上げること」。RID3481(台湾)2024-25年度ガバナーが主導し起案した台湾のためのGGプロジェクトだ。RID2750とRID3481が姉妹地区であること、日本にへき地医療対策の専門大学があることなどからホストの打診があり、日本で研修先を探す依頼を受けた。台湾側の準備期間は1.5年、当地区の準備期間は1年ほどで、プロジェクトキックオフ後はGG申請提出までほぼ隔週の電話会議で協議を重ねた。実際の研修は2025年7月末から2週間、東京の地域医療振興協会と神戸大学大学院医療研究科の2カ所で行い、10月26日に台北でシンポジウムを行って日本の僻地医療制度を学んだ研修生が研修報告した。今後は台湾の医療制度への適用を働きかけて、効果測定が続く。

奉仕プロジェクトは提唱者が自身の専門分野や人脈がある先と枠組みをあらかじめ決め、ホストは財務支援や細部現地手配を担当するという先入観があったが、今回は問題意識と社会調査、概算予算策定以降が共同作業だったため、ホストであるRID2750は研修先探しなど企画にも関与し、当初の予想より前の段階から協働した。幸い日本の医療制度に通じ、実際にへき地医療を支えている素晴らしい協会(公益社団法人 地域医療振興協会)、大学(神戸大学大学院医療研究科)が研修を引き受けてくださったため、GG要件を満たすようプロジェクトを整えて申請に至った。

プロジェクトにはいくつか峠があり常に順風満帆だったわけではない。プロジェクトの目的に沿った手段の選択、研修生の選び方、日程などにつき何度も協議・確認を要し、乗越えられたのは提唱者であるRID3481の劉影梅ガバナーの熱意と、RID3481 林永豊VTT委員長のプロジェクトマネジメントの妙、RID2750でVTT経験者である大友敬VTT委員とホストクラブをお願いした東京世田谷RCの洪崇富会長ほか皆様のご尽力、RID2750伊藤千恵ガバナーのネットワークと、神戸大学があるRID2680八坂誠徳ガバナーのご協力、他ロータリー内外の関係者が全員で協力した結果だ。提唱者、実施者、外部協力者が同格のパートナーとして参加し、全関係者が能動的に関与したことがプロジェクト成功の鍵だ。

ゼロから築いた善意のプロジェクトが1年で形になり、「世界で良いことをしている」のを体感できてこの上ない満足感があった。関係者全員に心からお礼申し上げ、今後の台湾のへき地医療体制にどう影響するか楽しみに見守りたい。