Polio Eradication News==============
ポリオプラス通信 ~ポリオのない世界へ
第74号 2026.8.15
========================これまで73号を発行し、7年目を迎えました。
読者の皆さんがポリオ根絶を身近に感じられ、ポリオ
根絶を通して、社会課題に向き合えるようになることを
意図しています。
誰でも気軽に読める内容を心がけていきますので、
引き続きご愛読をお願いします。=========================
皆さん、こんにちは。
先日2001年から20年間にわたりインドでポリオ
ワクチン投与活動を続けてこられた、青森のパスト
ガバナーである関場慶博先生とともにミャンマーへ同行
する機会がありました。その時にポリオ根絶についてのお話を伺いました。
「ポリオウイルス野生株によるポリオ患者の発生数は
とても少なくなり、その意味ではポリオ根絶まであと
もう少しと言えるが、問題は生ワクチンを使用している
一部の地域や、免疫保持率(接種率)が低いコミュニ
ティにおいて、cVDPV(伝搬型ワクチン由来ポリオ
ウイルス)のアウトブレイク(流行)が継続的に報告
され、国際的に大きな問題となっていることだ。この問題に対応するためには、ポリオ根絶国であっても
高いワクチン接種率を維持し、なおかつ生ワクチンから
不活化ワクチンへの切り替えが必要です」とのことで
した。ここで問題なのは、不活化ワクチンは注射器を使用する
ため、医療従事者でないと投与できず、かつ高価である
という点です。ロータリーは野生株については多く語るものの、ワク
チン由来で苦しむ子どもたちの現実にはなかなか光が
当たりません。現在ポリオに罹患しにくい新型の経口ワクチン(nOP
V2)への切り替えが進められつつありますが、真の
ポリオ根絶に至るにはまだまだ予断を許しません。関場先生のお話を伺って、ポリオ根絶とは野生株の根絶
だけでなく、ワクチン由来の課題解決を含めて成し遂げ
る必要があると強く感じました。さて、目をミャンマーに向けると、2007年を最後に
野生株のポリオ罹患者は確認されていません。
2014年にはWHOからポリオ根絶(ポリオフリー)宣言
を受けていたものの、生ワクチン由来のウイルスが変異
・伝播するアウトブレイクが相次いで発生しました。幸い2019年以降は国内ではアウトブレイクは起きて
いませんが、生ワクチンを使い続ける限りリスクは
ゼロになりません。現在、軍事政権下でワクチン接種率が落ち込んでいる
とも聞いており、まずは全国で定期的なワクチン投与
を継続することが何よりも大切です。翻って、ロータリーは1985年にポリオ・プラス・
プログラムを始めて以来「ポリオ根絶を通して子ども
たちの笑顔を取り戻す」と世界に約束しました。この約束を果たすべく、私たちも今一度、世界から
ポリオ根絶に向け力を尽くしていきましょう!ポリオ根絶まであと少しです。
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【ポリオミニ知識(14)】
ポリオの歴史や、ロータリーとポリオの関係など、
ポリオにまつわるミニ知識を掲載します。
ポリオに関する発見をお楽しみください。=========================
SF作家アーサー・C・クラークがポストポリオ症候群に
苦しんでいたことをみなさんご存じでしょうか。彼の人生において、ポリオは活動を制限する試練である
と同時に、創作活動や代表作の誕生を決定づけた重要な
転換点でした。1962年、移住先のスリランカでポリオに感染したクラーク
は、熱中していたスキューバダイビングなどの激しい
水中活動を断念せざるを得なくなりました。
しかしこの身体的制限が、有り余る情熱と知的好奇心の
すべてを宇宙への思索と執筆に向けさせる契機となります。その直後の1964年、映画監督スタンリー・キューブ
リックからの連絡を機に伝説的な共同作業が始まり、
歴史的名作『2001年宇宙の旅』の小説版と映画脚本が
生み出されました。身体の自由がいくらか損なわれつつも長旅をこなし、
ニューヨークの邸宅で人類の未来を議論したこのプロ
ジェクトは、ポリオによる活動制限がなければ机に張り
付いて没頭することもなかった偉業でした。その後、1988年にはポスト・ポリオ症候群を発症し、
車椅子や呼吸器といった人工的サポートなしでは生き
られない生活へと変化しました。奇しくもそれは、作中で描かれた「テクノロジーに
よって肉体の限界を克服し、極限環境へ進む人類」の
姿と重なるものでした。晩年も呼吸障害や体力の低下と闘いながらも創作の筆
を置いたことはなく、2008年に90歳で亡くなる数日前
まで最後の作品『最終定理』の原稿チェックを続けて
いました。クラークにとってポリオは、後半生が車椅子という制約
の中にありながらも、最期まで宇宙への夢と科学技術の
未来を説き続けた不屈の精神の象徴そのものでした。=========================
【ポリオ罹患者数】
2026年8月11日付の野生株のポリオ罹患者状況は
以下の通りです。アフガニスタン 15名
パキスタン 3名
合 計 18名今月は先月に比べアフガニスタンで8名増え、合計18名
です。アフガニスタンでの罹患者増加が止まりません。
何とか勢いを止めたいところです。=========================
【編集後記】
ポリオプラス通信を読んで頂きありがとうございます。
先日ハリウッドに「MATSUHISA」を出店し、ロバート・デ
・ニーロと共同出資した「NOBU」が人気店となり、
世界に70店舗以上展開されている松久信幸、洋子夫妻に
会う機会がありました。今でこそ、世界に鮨を広めた功労者であり、大谷翔平を
はじめ、名だたる人々が会いに来るノブさんですが、最初
から順風満帆だった訳ではないと言います。
初めて海外で働いたペルーでは、食材の質を落とすよう
求められたことから店のパートナーと衝突し、最終的に
は店を辞めてアルゼンチンに移ったとのことでした。自分のやりたいこと、そして信念を貫くその姿勢に、
思わず膝を打ちました。本物を提供しようとすれば、どうしても原価率は上がり
がちになります。
採算ばかりを考えていたら、本当によいものは提供
できません。私ごとになりますが、13年前に大森シェフがIrohaに
加わってくれた時、「なんちゃって」ではなく本物を
提供しようと採算度外視でお客様のため、スタッフの
幸せのために走ってきました。その結果、彼の弟子たち
が今も変わらぬ品質を保ち続けてくれています。もしあの時少しでも妥協していたら、品質は徐々に
下がり、本物ではなくなっていたかもしれません。ノブさんのお話を伺いながら、自然とIrohaの歩みと
重なって聞こえてきました。
ノブさんのブレないあり方こそが、世界中のセレブ
達から支持されている理由なのだと実感しました。今回、昨年10月に箱根にオープンした「箱根食堂」
でお目にかかりました。
なぜ食堂を出店されたのかと尋ねると、「これまで
寿司や日本料理といった専門店をやってきたけれど、
カレーやラーメン、定食など何でも食べられる食堂を
やってみたかった。そして弟子たちが働ける場所を
つくり、子どもたちに残せるようにしたい。箱根食堂が
軌道に乗ったら、日本全国に展開したいんだ」と語って
いました。現在77歳とお聞きして、いつまでも尽きない好奇心と
夢を持ち続けていらっしゃる姿に、「人生の豊かさとは
何か」を教えられました。そんなノブさんを見つめながら、傍で支え続けてこら
れた奥様・洋子さんの貢献にも心打たれました。「主人はこれはと思う食材があると何でも買ってきて
しまうから大変だったのよ」と少し誇らしげに笑う姿
を拝見し、一流の人の背景には大好きなことに心置き
なく打ち込めるような内助の功があるのだと納得し
ました。来月はヴェネチアのホテルでオープンする新店に行か
れるというノブさん。
束の間のお休みに、大好きな箱根の別荘で充電し、
世界を舞台に挑戦する姿は頼もしく、私自身も大きな
力づけを得られました。世界の一流と呼ばれる人たちが、こぞってノブさんに
会いに来る理由を垣間見た思いがします。ノブさんも洋子さんも、気さくで謙虚で成功者にあり
がちな上から目線は一切ありません。
自分もこうありたいと思える素敵なご夫婦でした。
お店の成功はお二人で手を携えて築き上げてこられた
賜物なのだと感じました。豊かさを 二人で拓き 実りかな
今回も川柳を詠んでみました。
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発行責任者 柳 邦明
国際ロータリー 第2750地区 ロータリー財団
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