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一人の笑顔のために ~ 太田氏が歩み続ける「超我の奉仕」の道 ~

一人の笑顔のために
~ 太田氏が歩み続ける「超我の奉仕」の道 ~
東京中央ロータリークラブ 太田嘉正氏

「奉仕とは、今、自分にできることを、自分の力で行うこと。」

長年にわたり国内外で奉仕活動を続けてきた太田氏は、そう語ります。
その活動の舞台は、日本国内だけにとどまりません。フィリピン、インド、ミャンマー、パラオ、スリランカ、ベトナム――。世界各地で医療支援、教育支援、環境保全、災害復興支援など、多岐にわたる活動を実践してきました。

その原点となったのは、2000年に初めて参加したフィリピンでの無料歯科医療奉仕活動でした。

現地では、歯科治療を受けたことのない子どもたちが長い列をつくり、順番を待っていました。雨の中でも帰ることなく、自分の番を待ち続ける子どもたち。やがて治療を終えた一人の子どもが、笑顔で帰っていく――。その姿を見た瞬間、「人の役に立つとは、こういうことなのか」と深い衝撃を受けたといいます。

その体験は、太田氏の人生観を大きく変えました。

以来、フィリピン各地をはじめ、海外での奉仕活動に継続的に参加。バギオ、イロイロ、ルバング島、タクロバン、マニラ、パラワンなど、多くの地域を訪れ、現地ロータリアンやボランティアとともに活動を続けてきました。活動回数は100回を超えます。

しかし、太田氏自身は医師ではありません。
では、どのような役割を担ってきたのでしょうか。

太田氏は、自らを「会場設営の設計者」と表現します。

医療奉仕活動の現場では、多くの患者が訪れます。限られた時間の中で安全かつ円滑に運営するためには、受付導線、待機場所、診療スペース、機材配置、電源確保、患者の流れなど、細かな設計が欠かせません。太田氏は建築業界で培った経験を生かし、現場全体を支える役割を担ってきました。

「現場が混乱すれば、本当に助けを必要としている人に支援が届かない。」

その思いで、裏方として活動を支え続けてきたのです。

特に印象深い活動の一つが、「空飛ぶ車いすプロジェクト」です。

日本では毎年、多くの車いすが不要品として廃棄されています。しかし世界には、車いすがないために家の外へ出ることすらできない人々が数多く存在します。

そこで、不要になった車いすを回収し、高校生、ロータリアン、ローターアクターらが修理・整備を行い、海外へ届ける活動が始まりました。

タイヤ交換、ブレーキ調整、ベアリング交換、塗装補修――。一台一台を丁寧に整備し、新しい命を吹き込みます。

これまでにフィリピン、パラオ、ベトナム、スリランカなどへ寄贈を実施。単なる物資支援ではなく、「人と人をつなぐ交流」として活動は広がっていきました。

なかでも忘れられないのが、フィリピン・タクロバンで出会った一人の少年でした。

ポリオの後遺症により歩行ができず、生まれてから一度も家の外へ出たことがなかった少年。寄贈された車いすに初めて乗り、外へ出たとき、父親が涙を流しながら語った言葉が今も忘れられないといいます。

「この子に初めて青い空を見せることができた。」

その瞬間、太田氏は改めて感じたそうです。
「奉仕とは、物を渡すことではない。その人の人生を変える“きっかけ”を届けることなのだ」と。

また、太田氏の活動は環境保全にも広がっています。

フィリピン・ルバング島では、森林伐採による洪水被害を防ぐための植樹活動を実施。さらにマヨン火山周辺では、竹を植えることで土砂災害や洪水被害を軽減するプロジェクトにも取り組みました。

現地では「美味しい魚を食べたければ山に木を植えろ」という言葉があるそうです。自然を守ることが、人々の暮らしを守ることにつながっている――。その考え方に深く共感したといいます。

近年では、フィリピン・ケソン市で行った文房具支援プロジェクトも印象深い活動の一つです。

東京で集めたボールペンや鉛筆、メモ帳など約35kgの文房具を現地へ運び、約8,000人が在籍する公立小学校を訪問。代表児童約300人へ配布を行いました。

配布前、整然と並んで待つ子どもたち。
そして、受け取った瞬間にあふれる満面の笑顔。

「学びたい」という純粋な気持ちに触れ、教育支援の大切さを改めて実感したと語ります。

海外だけではありません。

2011年の東日本大震災では、石巻、亘理、女川などで泥さらいボランティア活動に参加しました。

現地で目にしたのは、映像では決して伝わらない現実でした。ヘドロに埋まった住宅、止まったままの時計、漂う臭気。津波を経験した女性が語った「津波は波ではありません。“水の壁”です」という言葉が、今も心に残っているそうです。

深夜に高速道路を走り、被災地へ向かった仲間たち。ロータリアンだけでなく、一般市民、ホテル従業員、ローターアクターも共に活動しました。

「一人ではできない。でも、皆で力を合わせればできる。」

その経験は、太田氏にとって“ロータリーの本質”を再確認する機会になりました。

太田氏は、奉仕についてこう語ります。

「知恵を出してください。汗を出してください。お金を出してください。どれか一つでもいい。自分にできる形で関わること、それが奉仕です。」

奉仕は特別な人だけが行うものではない。
心が動いたときに、一歩踏み出すこと。
それこそが大切なのだと。

そして、太田氏は最後にこう語ります。

「扉を開けて、外へ出よう。」

その一歩が、誰かの人生を変える。
同時に、自分自身の人生も変えていく。

世界各地で出会った子どもたちの笑顔。
共に汗を流した仲間たち。
支援を通じて生まれた友情。

そのすべてが、太田氏にとってかけがえのない財産となっています。

奉仕は、出来るときに、出来る力で。
その積み重ねが、未来を変えていくのです。

 太田氏の詳しい記事は以下よりご覧くださいください。