Polio Eradication News==============
ポリオプラス通信 ~ポリオのない世界へ
第70号 2026.4.15
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これまで60号を発行しましたが、新年度の7月を迎えるに
あたり、内容を少し変えます。
皆さんがポリオ根絶を身近に感じられ、ポリオ根絶を
通して、社会課題に向き合えるように。
誰でも気軽に読める内容を心がけていきます。
ポリオの現状とこれまでの活動を知って頂きたく、
情報発信します。
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皆さん、こんにちは。
先日、東京目黒ロータリークラブで開催されたポリオ
例会で卓話をしました。
私が所属する第2750地区では田中ガバナーの意向で、
各クラブでポリオ例会を開催し、クラブ会員の皆さんに
ポリオ根絶の現状を知ってもらうことにしました。
明山友美さん、伊藤和生さん、圓井順子さん、私、の
4名で卓話をしました。
明山さん、圓井さんはパキスタンでポリオワクチン
投与活動を何度もしていますし、伊藤さんはポリオ
プラス委員長、ポリオプラスソサエアティ・コーディ
ネーターを歴任したポリオ通です。
9月末から始まり4月まで行った卓話は、27クラブ
からオファーがありました。
もちろん、個別にポリオ例会をやっているクラブも
ありますので(私の所属する東京愛宕ロータリークラブ
では、尾身茂先生をお呼びして夜例会を行いました)、
ポリオ例会自体はもっと多かったと思います。
特に10月24日の世界ポリオデー前後に卓話依頼が集中
しますので、1日に昼夜2カ所で卓話することもありました。
実際4名で行うには厳しい状況でしたが、それぞれ仕事
の合間を縫って卓話をさせて頂きました。
これまでポリオウォークなど世界ポリオデーに合わせて
イベントを行っていましたが、各クラブを回ってみると、
ポリオ根絶がロータリーの最優先事項と知らなかった
という新会員や、ポリオの最新情報が分かって良かった
との前向きな意見を多数頂きました。
特に圓井さんから、「あるクラブへ行った時に古いパスト
会長から、ポリオはWHOに任せておけばいいと思って
いたが、実際にあなたの話を聞いて気持ちが変わった。
パキスタンでの投与活動すごいよ!」と声をかけられ、
感動して涙が出そうになったと感想をもらいました。
私はこれだ!と直感しました。
一人一人に丁寧に語りかければ、なぜ今ポリオ根絶に
ロータリーが関わり続けているのか納得してもらえます。
もちろん、我が地区だけで90クラブ以上あるので、全て
のクラブで卓話するのは簡単ではありません。
しかし、世界ポリオデーにイベントをしても、参加する
のは全体の1割程度だとすると、ポリオ根絶の必要性が
伝わりづらい状況です。
4月20日に「ステップアップセミナー」という新人会員
向け研修の場でポリオ根絶について話してほしいと依頼
を受け、快諾しました。
というのも新会員に向け、ロータリーはなぜポリオ根絶
に取り組んでいるのかを伝え、賛同してほしいと思った
からです。
さて、昨年のポリオ罹患者数は4月7日現在52名に増え
ました。
先月からアフガニスタンで1名増え、4月までで12名
増えています。
このことは、ポリオではないかと疑われている人たち
の検査が正確にされていると前向きに捉えていいのでは
ないかと思っています。
今年はアフガニスタン、パキスタン共に1名ずつ発症者
が出ています。
今年もワクチン接種率を上げ、発症数を減少させ、
ポリオ根絶へ前進していきましょう!
ポリオ根絶まであと少しです。
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【ポリオミニ知識(10)】
ポリオの歴史や、ロータリーとポリオの関係など、
ポリオにまつわるミニ知識を掲載します。
ポリオに関する発見をお楽しみください。
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ポリオに罹患した著名人として、今回は
『機動戦士ガンダム』の生みの親である富野由悠季監督
にスポットを当ててみました。
富野監督にとって幼少期に罹患したポリオは、彼の
人生観や作品世界に決定的な影響を与えた「原点」の
一つと言えます。
富野監督は1941年生まれで、終戦直後の混乱期である4歳
の頃にポリオを発症しました。
幸い命は助かりましたが、左足に麻痺が残りました。
運動会などで周りの子供たちが元気に走り回る中、自分
だけは同じように動けない。
「なぜ自分だけが」という強烈な劣等感と、それを外に
出せないもどかしさが、彼の内面に深く刻まれました。
従来のロボットアニメのような「明るく元気な正義の
味方」ではなく、アムロ・レイのように内向的で、
身体的・精神的に脆さを抱えた主人公を描いたのは、
自身の投影でもありました。
そして身体の壁を超えて、他人と完全に理解し合える
「ニュータイプ」という概念は、物理的な制約(身体
の不自由さ)に縛られてきた彼が、精神の世界でその
壁を突破しようとした一つの到達点とも解釈できます。
富野作品に流れる「人間は不完全である」「思い通り
にいかない現実」というテーマは、彼が幼少期に
ポリオという病を通じて得た「自分の身体すら思い通り
にならない」という絶望と、それを乗り越えようとした
闘いから生まれています。
もし彼がポリオを経験していなければ、私たちが知って
いる『ガンダム』は、もっと軽快で、もっと「痛み」の
ない作品になっていたかもしれません。
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【ポリオ罹患者数】
2026年4月7日付の野生株のポリオ罹患者状況は
以下の通りです。
アフガニスタン 1名
パキスタン 1名
合 計 2名
前回のメルマガで2025年は51名とお伝えしましたが、
今回GPEIのサイトを見ると、52名に増えていました。
最新情報では、2025年はアフガニスタンが1名増えて
21名、パキスタンが31名の合計52名になっています。
また、2026年はアフガニスタンでも既に1名の罹患者が
出ています。
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【編集後記】
いつもポリオプラス通信を読んで頂きありがとうございます。
先日、15年ぶりに妻も一緒にヨーロッパへ行ってきました。
スイス、オランダ、ドイツと3カ国を巡ってきて感じた
のは、物価が高くなっていることでした。
特に普通に食事しても1人5000円ほどかかる食事代は
バカになりません。日本の円安を痛感する瞬間でした。
さて、今回はシュタイナーが提唱した人智学の専門家
アンドリューさんと巡る旅でした。
スイスのドルナッハにあるゲーテアヌムという人智学の
総本山で、ワーグナー作曲のオペラ「パルジファル」を
鑑賞することが目的の一つでした。
このオペラのバックグランドや、シュタイナーが創作した
オイリュトミー(運動芸術)との関係など6時間に渡る
講義を受けた後に鑑賞しました。
結論から言うと、この事前講義がなければこんなにも
深くオペラ鑑賞ができなかったと思います。
全編ドイツ語でのワーグナーの『パルジファル』は英語
訳もなかったため、この場面は何を現しているのかとい
う講義がなかったら理解できなかっただろうと思います。
この後はレンブラントの絵画を鑑賞しながら、バッハの
「マタイ受難曲」を聞いたり、アムステルダムでゴッホ
やフェルメールの絵画を鑑賞したり(もちろん
シュタイナー的な視点からの解説を受け)、観光という
よりは研修でした。
しかし、この旅で一番印象的だったことの一つは
アンドリューさんという人の在り方でした。
スイスからアムステルダムまで列車で移動中に、
コロンビア人の家族(夫婦と小学生くらいの子ども2人)
が私たちの予約した席に座っていました。
事情を聞くと、切符は取ったけれど席の予約をして
なかったようです。
するとアンドリューさんは自分の席を差し出して、自分
は食堂車にいるから、家族で座ってほしいと話し、それ
を聞いた奥さんが不安だったからか涙を流していました。
人が困っている時に、何ができるかがその人を表します。
私と妻はそのアンドリューさんの在り方に深く感動しました。
結局その家族は、車掌さんに事情を説明して、空いて
いる席に移動して行きました。
人のあり方で、相手を傷つけることもできるし、
力付けることもできる。
その後、私と妻が食堂車でアンドリューさんと食事を
一緒にしていた時に、件のコロンビア人の男性がやって
きて、アンドリューさんに明るく開いて感謝の言葉を
述べていました。
私は、いつも相手を力づけその人のために何ができるか
を考えるアンドリューさんのように生きて行きたいと
思いました。
ちからづけ こころ開いて あるがまま
今回も川柳を詠んでみました。
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○メールマガジン「ポリオプラス通信~ポリオのない世界へ」
発行責任者 柳 邦明
国際ロータリー 第2750地区 ロータリー財団
ポリオプラス委員会
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