2025年9月10日(水)、国際ロータリー第2750地区米山記念奨学委員会は、アルカディア市ヶ谷(私学会館)において「第2回米山奨学生カウンセラーセミナー」を開催しました。
米山奨学事業では、奨学生を受け入れる世話クラブの中から、日常生活や学業、クラブとの橋渡しを担うサポート役として「カウンセラー」が選任されます。カウンセラーは、例会への出席や奨学金の受け渡し、生活面の相談対応、文化・習慣への配慮、行事参加のサポートなど、奨学生が安心してクラブ活動や留学生活を送るための重要な役割を担っています。
今回のセミナーは、カウンセラーとして必要な知識と実務、そして他クラブの事例を学び、活動の質をさらに高めることを目的に開催されました。
当日は約40名が参加し、制度の基本理解から、カウンセラー経験者によるパネルディスカッションまで行われ充実した学びの時間となりました。檜垣慎司米山記念奨学委員長からは米山記念事業の歴史や目的、これまでの成果について講義が行われました。続いて太田智米山選考委員長より、カウンセラーの役割と責務、手続きの流れについて実務的な解説が行われ、カウンセラーとしての心構えや留意点が整理されました。その後、遠藤美香米山資金推進委員長から資金推進の現状と協力のお願い、渥美元博米山奨学・学友副委員長からは学友会活動の現況と今後の展望が紹介されました。
2750地区学友会は2026年に設立10周年を迎え、記念式典が2026年7月26日に予定されていることや、同年12月には台湾・台北で学友世界大会が開催されることも告知されました。
後半のパネルディスカッションでは、檜垣委員長がモデレーターを務め、星野勇介さん(東京山の手RC)、渥美元博さん(東京町田セルビアRC)、川口友和さん(東京蒲田RC)が登壇しました。会場での発言を一部ご紹介します。
「来たばかりの奨学生と距離を縮める工夫」
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- 受付を手伝ってもらうことで、会員の顔と名前を早く覚えられる。その場で自己紹介もしてもらい、初の壁を低くしました。
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- 例会だけでなく奉仕活動や移動例会にも声掛けし、顔と名前が一致する状態を早めに作る。紹介は毎回コツコツ。
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- 懇親会で多くの会員に挨拶回り。1人に長くではなく、とにかく顔を合わせる機会を増やすことを意識しました。
「配慮が必要な場面」
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- 豚肉/飲酒などで困る場面の実例が紹介。事前把握と代替配慮を徹底したい。
「距離感”とハラスメント防止」
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- 握手は相手から求められるまで自分からしない。何か悩みがあれば、まずカウンセラーに相談される存在ありたい。
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- 飲酒の場で1対1は避ける。その場で「その発言は良くない」と注意できる空気づくりを。72時間以内の報告も徹底。
「卒業後の関係づくり」
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- 就職や住居まで実生活の支えに発展した例も。まず相談される信頼が鍵。
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- 博士進学後も行事に招待。例会食の費用は理事会で事前確保し、呼びやすい仕組みを整えています。
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- メールでは接点維持。在任中にもっと関係構築できれば、と反省も次の学びに。
カウンセラーの経験談を参加者はメモを取りながら深く頷いていました。今後のクラブ活動にすぐ活かせる実践的な内容でした。
今回のセミナーを通じて、カウンセラーは単なる世話役ではなく、奨学生にとって家族のように寄り添い、学びと交流の機会を広げ、ロータリー精神を次世代へとつなぐ存在であることが改めて共有されました。米山奨学事業は、寄付・支援・交流・教育が一体となって初めて成り立ちます。
今回得られた学びを各クラブに持ち帰り、奨学生がより良い学びと成長の機会を得られるよう、一人ひとりが次の行動につなげていくこととなれば幸いです。来年の2750地区学友会設立10周年記念式典や台湾・台北での学友世界大会が予定されており、米山奨学事業を通じた交流と学びの機会は今後ますます広がっていくことを期待しています。
米山記念奨学委員会 副委員長 青栁浩
所属 東京山の手ロータリークラ